オーガスタキャンプ2010レビュー<1>長澤君の成長
<Twitterの#augustacampハッシュタグ関連でご覧になられた方へ。このブログ、2年ぶりに更新します。過去の駄文はオーキャンには関係ありません。今回もtwitterとは真逆で無駄に長いので、どうぞ皆さんの時間を有効に(笑)>
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2年ぶり、3回目の参戦となったオーガスタキャンプ。今年の会場は東京・夢の島。
山崎まさよしデビュー15周年、というお題目となった今回、各アーチストが繋ぎに「デベソ」でヤマの曲をカバーするという展開が想像されていて、事実そうだったわけだが。
開幕から音を聞けたのは3回目にしてこれがはじめて。といっても・・・mi-guのせっかくのパフォーマンスは「オーガスタ食堂」大渋滞のおかげできちんと聞けず・・・ごめんなさい、mi-gu。でも、ステージで風を受けているmi-guの姿がスクリーンにアップされているのを見て、トラックの中は風があることを祈ったよ。
2年ぶりとはいえ、シカオちゃんは今年のツアーの新潟まで車飛ばして行ってきたし、去年群馬に来てくれたヤマのライブも見た。杏子姉さんは毎週ラジオで聞いてるし、スキマや秦君も前半からTV露出が多かった。ちーもCMのタイアップとかで声をきかせてくれたし、姉さんのラジオにも出てたし。
そんな中、オーキャンでしか逢えない長澤君がいる。たぶん、今のオーガスタで一番ロック色が強く、弦を掻き毟るタイプのギタリスト。裏声と絶叫は、たぶんオーガスタ各アーチストのフォロワーの中でも拒絶反応を示す人もいるだろうと思う。
でも、彼はつぶやく歌い方がとてもせつない。そして韻を意識した言葉の選び方がうまい。それはデビュー当時から変わらぬ印象だ。
事務所の長女、杏子姉さんから末弟の長澤君へ出された宿題である「ねえ、もっと」も姉さんにぴったりのあやうい妖しさと、少女の様を見事に表現していたし、「福耳 BEST ACOUSTIC WORKS」に収録された「明日へのラストナイト」もリフレインが耳に残る。さらに、ライブ会場先行販売、ということでオーキャンで蔵出しされたCD、「回送」も素敵な曲で、これは音源化要望があがるのも当然だと思った。
2年前、'08の時は例の誤認逮捕・不起訴明けだったわけだが、いろいろな人を知り、腐らずに、少しオトナになったのかなぁ、'07より慣れた感じだねぇと思ったのだが、今年の彼のステージは、格好よかった。
スタンディングこそ少なかったが、以前のような「トイレタイム」にはなってなかった。みんな思い思いに、彼の声を聴いていた。
なんだかんだ言って、オーガスタのアーチスト達は末弟をかわいがっている。教育係のシカオちゃんはもとより、ヤマもタクヤも、姉さんも彼の才能を買っている。
みんなでこの、壊れそうなほど繊細な才能を応援していこうという感じだろうか。それはアーチストサイドだけじゃなくて、オーディエンスサイドでも、同じ気持ちの人が多いんじゃないだろうか。
うしろのほうでは、長澤君をよく言わないオーディエンスの声もあった。確かに、マイクロンのいない今、もっともオーガスタらしからぬアーチストは彼になったと思う。でも、彼の声にしびれていたオーディエンスも多かったし、彼が元気にステージにあがったことを喜んでいる、たぶん長澤(だけの)ファンではないオーディエンスのつぶやきも多かった。
オーキャンのいいところは、贔屓じゃないアーチストのよさも知れること。例えばトリビュートコーナーでの解釈とか、表現とか、照れ笑いとか。それは、アーチスト同士が仲がよくて、互いにフォローしあっている関係なのをオーディエンスも知っているからで、それはバーターとか、シコミじゃないってことをみんな感じている。
だからオーキャンが終わるときには、他のアーチストのことも気になって帰るようになるんじゃないのかな。
スキマがブレイクしてきた’07年は、明らかにスキマファンが多かったし、'08年なんてCOILトリビュートなのに、洋介さんが出られなくて、サダさん一人でがんばってるのに、主役なのに席を立つ人もいた。実は自分もCOILというアーチストは知っていたけれど、ちゃんと楽曲は聴いていなかった。でも、今は時々サダさんのボーカルが聴きたくなる。
長澤君については、初めて彼の声を聴いたときから、なんだかもう、甥っ子を見守る親戚のオッサンのような感じなんだろうな。全く、危なっかしいったらありゃしねーぜ、てな感じ。
とげとげしい、触れたら血飛沫と共に崩れてしまいそうな長澤知之の世界は、変な例えかもしれないが旧石器時代の打製石器、やじりのような、磨かれもせず、モノの素材だけで勝負している感じだった。
今年の長澤知之は、磨製石器を飛び越え、小さなナイフに進化していたような気がする。名刀になるまではもうしばらくの時間がかかるかもしれない。でも、彼の世界を理解できるオーディエンスは着実にふえていると思う。
彼が「回送」を歌ったとき、すでにブースではCDが完売だったのだ。パフォーマンスで「いいな」と思ったときにはすでに遅し!幸い我が家は開演前に買っていた。青田買い(爆)。
たぶん我が家だけじゃなく、多くのオーディエンスが、長澤君を見守るべく、「回送」を青田買いしていたんだと思う。今年の長澤知之には、その価値を感じた。
シカオちゃんやヤマのようにソングライターとしての評価が先になるのか、スキマスイッチや秦君のようにミュージシャンとして花開くのか。たぶん、昼ドラとか、ちょっとレディースコミックの入ったドラマとでもタイアップでも取れれば、ブレイクは近いんじゃないかな。
実は、ボクが今回ホロっと来たのは、オーラスの「星のかけら・・・」で、長澤君がソロを取ったその時だった。
「かけら」は杏子姉さんの持ち歌であり、「福耳」の原点である。やっぱり姉さんがメインボーカルでしかりだと思うのだが、「福耳」がここまで成長したという証というか、今年の「さだまさよしマジック」の最大の演出だったと思う。
『ヤマ、オーキャンをはじめてくれてありがとう!夏はやっぱりこれだね!』
みんなで絶叫して、いつもと同じようにAメロは杏子姉さんではじまったのだが、タクヤがBメロ、ちーがCメロを歌うという、これまでにはない展開。その後もBメロ、Cメロでメンバーが掛け合う中、長澤君がボーカルを取った瞬間、彼も一人前の「福耳」になったんだなぁなんて思ってしまった。
長澤君の刃が、次のオーキャンでどこまで長くなっているのか。それはまた来年のお楽しみ。
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コメント
オーキャン2日目に初めて参加した高校生です。はじめまして!
長澤さんのことは全く知りませんでしたが、とても惹かれました。というか、あんなに胸を打つ音楽は初めてだったと言ってもいいくらいの衝撃でしたよ。
是非これからも聴いていきたいと思います。
投稿: @kujiranohitomi | 2010.08.17 01:43
>@kujiranohitomiさん
こんにちわ。初めてのオーキャン、楽しめましたか?15日は野郎ドモ「ヤマ正装」に秦坊+ちー+武部さんのサプライズセットがあり、しかも「シカオ雨」なし!おいしかったみたいで(でも、14日のセットも気になります)。
※オーキャンではシカオちゃん、タクヤのパフォーマンス時の雨率高し!
オジサンなんかだともう、長澤君の世界は少し遠くなってきたけれど、せつなさは伝わります。誰にでも薦められるわけではない世界を持っているアーチストだけど、オーキャンのステージで彼を知れたことは、彼にも、ボク達にも大事な出会いだと思います。
また来年、同じ時間に同じ場所を共有できるといいですね。
コメントありがとうございました。
投稿: AJ | 2010.08.17 11:41